若狭懐石 (海魚料理)

若狭懐石 (海魚料理)
 当家の前をとおる国道367号線はその昔、都から小浜へ抜ける若狭街道(鯖街道)と呼ばれておりました。若狭でとれた捕れたてのぐじ(甘鯛)や鯖には塩がふられ、若狭街道を通って一昼夜かけて都まで運ばれていました。塩が馴染んで一番旨さを増すのが当家の前だったそうで、よく市が開かれ、昔の食通たちは都に入る前の一番いい魚をこぞって当家で食したそうでございます。明治に入り、鉄道が敷かれると、街道を通って魚が運び込まれることはなくなり、いつしか高野川や、琵琶湖で取れる川魚へと素材が変化してまいりました。昭和に入り当家の二十代目当主が、再び若狭の魚を使って懐石をはじめ、今では若狭懐石が当家のもうひとつの名物となっております。